相加相乗平均の大小関係の例題と証明3通り

相加相乗平均の大小関係とは

相加相乗平均の大小関係

\(a, b > 0\)とするとき, 次の不等式が成り立つ。
$$\dfrac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}$$
ただし, 等号成立は\(a=b\)のとき。

\(a, b > 0\)に対し, \(\dfrac{a+b}{2}\)を\(a\)と\(b\)の相加平均, \(\sqrt{ab}\)を\(a\)と\(b\)の相乗平均といいます。

相加相乗平均の大小関係とは, 2つの正の実数の相加平均と相乗平均の大小関係に関する不等式だということです(だから相加相乗平均の大小関係というのです)。

ちなみに, ここでは2つの正の実数に関する相加相乗平均の大小関係を解説しますが, 実は3個以上の正の実数に関しても, (相加平均)≧(相乗平均)が成り立ちます。
(こちらについては別の記事で解説します。)

相加相乗平均の大小関係は, 不等式の証明や関数の最小値を求める場面などで威力を発揮します。

そういった場合, 上の不等式を変形して得られる, \(a+b \geqq 2\sqrt{ab}\)という形で使うことが多い気がします。

例題

例題

\(a>0\)とする。次の不等式を証明せよ。また, 等号が成立するときの\(a\)の値を求めよ。
$$a+\dfrac{9}{a} \geqq 6$$

解答

\(a>0\)より\(\dfrac{9}{a}>0\)である。

よって, 相加相乗平均の大小関係から
$$a+\dfrac{9}{a} \geqq 2\sqrt{a\cdot\dfrac{9}{a}}=2\cdot3=6$$

等号が成立するのは\(a=\dfrac{9}{a}\)のとき, すなわち\(a=3\)のとき。

相加相乗平均の大小関係とは, \(a, b>0\)のとき\(\dfrac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}\)が成り立つというものでした。この\(a, b>0\)という条件がとても大事です。

上の例題では, \(a>0, \dfrac{9}{a}>0\)が成り立つことを確認してから\(b=\dfrac{9}{a}\)として相加相乗平均の大小関係を用いています。

このように, 相加相乗平均の大小関係を用いてよいための条件が成り立っているか, きちんと確認してください。

例題

\(a>0, b>0\)とする。次の不等式を証明せよ。また, 等号が成立する条件も答えよ。
$$(a+2b)\left(\dfrac{2}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \geqq 8$$

解答

与えられた不等式の左辺を展開すると
$$(a+2b)\left(\dfrac{2}{a}+\dfrac{1}{b}\right)=4+\dfrac{4b}{a}+\dfrac{a}{b}$$
ここで\(a>0, b>0\)より\(\dfrac{4b}{a}>0\), \(\dfrac{a}{b}>0\)である。

よって相加相乗平均の大小関係より
$$4+\bbox[#fff3b0, 2px]{\dfrac{4b}{a}+\dfrac{a}{b}} \geqq 4+\bbox[#fff3b0, 2px]{2\sqrt{\dfrac{4b}{a}\cdot\dfrac{a}{b}}}=4+2\sqrt{4}=8$$
(黄色の部分が相加相乗平均の大小関係を用いた部分)

したがって
$$(a+2b)\left(\dfrac{2}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \geqq 8$$
が成り立つ。

等号成立は\(\dfrac{4b}{a}=\dfrac{a}{b}\)のとき, すなわち\(a=2b\)のときである。

例題

\(x>0\)とする。関数\(y=\dfrac{x^2+25}{x}\)の最小値を求めよ。

解答

\(y=x+\dfrac{25}{x}\)である。
\(x>0\)より\(\dfrac{25}{x}>0\)であるので, 相加相乗平均の大小関係より
$$y=x+\dfrac{25}{x} \geqq 2\sqrt{x\cdot\dfrac{25}{x}}=2\cdot5=10$$

ここで等号が成立するのは\(x=\dfrac{25}{x}\)のとき, すなわち\(x=5\)のときである。

よって\(x=5\)のとき, 実際に\(y=10\)となる。

したがって, 求める最小値は\(10\)

解答の最後に等号成立条件から\(y\)が実際に\(10\)をとることを確かめていますが, これはとても重要です。

相加相乗平均の大小関係より\(x+\dfrac{25}{x} \geqq 10\)だから\(y\)の最小値は\(10\), とするのは論理的に正しくありません。

実際に\(y\)が\(10\)という値をとることをいわなければなりません。

関数の最小値とは, その関数がとりうる値の中で一番小さいものだからです。

例えば関数\(y=x^2\)に対し, 常に\(y \geqq -1\)が成り立ちますが, \(y\)の最小値は\(-1\)ではなく\(0\)です。
このように関数\(y=f(x)\)に対し常に\(y \geqq m\)であるからといって, \(y\)の最小値が\(m\)となるとは限りません。

今回の問題も同じ理由で, 単に\(y \geqq 10\)であることを示しても, それだけで\(y\)の最小値が\(10\)であるとはいえません。

\(y\)が実際に\(10\)という値をとることまで示してはじめて最小値が\(10\)であるとわかります。

例題

\(a, b, c>0\)とする。次の不等式を証明せよ。
$$(a+b)(b+c)(c+a) \geqq 8abc$$

解答

相加相乗平均の大小関係より
$$(a+b)(b+c)(c+a) \geqq 2\sqrt{ab}\cdot2\sqrt{bc}\cdot2\sqrt{ca}=8abc$$

相加相乗平均の大小関係の証明

証明その1

証明

\(a, b>0\)とする。

\((\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 \geqq 0\)であるから, 左辺を展開して\(a-2\sqrt{ab}+b \geqq 0\)

したがって\(a+b \geqq 2\sqrt{ab}\)であり, \(\dfrac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}\)

等号成立は\((\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 = 0\)のときであるが, このとき\(\sqrt{a}-\sqrt{b}=0\)であり, \(\sqrt{a}=\sqrt{b}\)であるから, \(a=b\)

よって等号成立は\(a=b\)のとき。

証明その2

証明

\(a, b>0\)とする。\(k=ab\)とおく。

\(x>0\)とし, 関数\(f(x)\)を\(f(x)=x+\dfrac{k}{x}\)により定める。
このとき\(f'(x)=1-\dfrac{k}{x^2}\)より, \(f'(x)=0\)とすると\(x=\sqrt{k}\)

\(0<x<\sqrt{k}\)のとき\(f'(x)<0\), \(\sqrt{k}<x\)のとき\(f'(x)>0\)であるので, \(f(x)\)は\(x=\sqrt{k}\)で最小値\(2\sqrt{k}\)をとる。

したがって, \(x+\dfrac{ab}{x} \geqq 2\sqrt{ab}\)であり, 特に\(x=a\)として
$$a+b=a+\dfrac{ab}{a} \geqq 2\sqrt{ab}$$
を得る。

したがって\(\dfrac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}\)が成り立つ。

不等式\(a+b \geqq 2\sqrt{ab}\)において等号が成立するなら\(f(a)=2\sqrt{ab}=2\sqrt{k}\)であるが, \(f(x)=2\sqrt{k}\)となるのは\(x=\sqrt{k}\)のときなので, \(a=\sqrt{k}=\sqrt{ab}\)

したがって\(a=b\)となる。

証明その3

証明

\(a, b>0\)とする。
長さが\(a+b\)の線分\(AB\)を直径とする円\(O\)を考える。

また, 線分\(AB\)上の点で, 線分\(AB\)を長さ\(a\)と長さ\(b\)の線分に分ける点を\(C\)とする(つまり\(AC=a\), \(BC=b\)となるように\(C\)をとる)。

次に, \(O\)の弧\(PQ\)を, 弧\(PQ\)が線分\(AB\)と点\(C\)で垂直に交わるようにとり, \(CP\)の長さを\(h\)とする。

このとき, 方べきの定理より\(AC \cdot BC=CP \cdot CQ\)である。

\(CP=CQ=h\)なので\(ab=h^2\), すなわち\(h=\sqrt{ab}\)となる。

いま, \(CP\)の長さは\(O\)の半径以下なので, \(\dfrac{a+b}{2} \geqq h\), すなわち\(\dfrac{a+b}{2} \geqq\sqrt{ab}\)となる。

等号成立は\(CP\)が\(O\)の半径に一致するときで, これは\(C\)が線分\(AB\)の中点であるときである。

このとき\(AC=BC\)が成り立つので, \(a=b\)となる。

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