剰余の定理とは
剰余の定理とは, 整式を1次式で割ったときの余りを与える定理です。
定数\(k\)に対し, 整式\(P(x)\)を\(x-k\)で割ったときの余りは\(P(k)\)に等しい。
整式\(P(x)\)を\(x-k\)で割り算するとき, 筆算などを用いて直接余りを計算することもできますが, 特に\(P(x)\)の次数が高くなると相応に手間がかかります。また, そもそも\(P(x)\)の形が具体的にわからないこともあります。
そんなときに使えるのが, 上の剰余の定理です。
整式\(P(x)\)に\(x=k\)を代入するだけで, \(P(x)\)を\(x-k\)で割った余りが求まってしまうわけです。
特に\(P(k)=0\)が成り立てば, \(P(x)\)を\(x-k\)で割った余りは\(0\)なので, \(P(x)\)は\(x-k\)で割り切れるとわかります。
これは整式の割り算における余りに関する問題などで使える, 非常に便利な性質です。
剰余の定理の例
例
整式\(P(x)=x^3-2x^2+x+2\)を\(x-1\)で割った余りは\(P(1)=2\)である。
例
整式\(P(x)=x^{100}-1\)を\(x+1\)で割った余りは\(P(-1)=(-1)^{100}-1=0\)である。
すなわち, \(x^{100}-1\)は\(x+1\)で割り切れる。
剰余の定理の証明
剰余の定理は, 整式の割り算を考えることで証明できます。
剰余の証明
\(k\)を定数とする。整式\(P(x)\)を\(x-k\)で割ったときの商を\(Q(x)\), 余りを\(r\)とする。
ただし\(x-k\)は\(1\)次式なので, \(r\)は定数である。
いま\(P(x)=(x-k)Q(x)+r\)であるので, 両辺に\(x=k\)を代入すると
$$P(k)=(k-k)Q(k)+r=0\cdot Q(k)+r=r$$
となる。
したがって\(P(k)=r\)であるので, \(P(x)\)を\(x-k\)で割ったときの余りは\(P(k)\)に等しい。
練習問題
実際にいくつか問題を解いてみてください。
整式\(P(x)=x^3-3x^2+4x-5\)を次の整式で割った余りを求めよ。
(1)\(x-2\)
(2)\(x+1\)
(1)
$$P(2)=2^3-3\cdot 2^2+4\cdot 2-5=-1$$
なので, 求める余りは\(-1\)
(2)
$$P(-1)=(-1)^3-3\cdot (-1)^3+4\cdot (-1)-5=-13$$
なので, 求める余りは\(-13\)
整式\(P(x)=x^3+ax^2-5x+3\)が\(x+1\)で割り切れるとき, 定数\(a\)の値を求めよ。
\(P(x)\)を\(x+1\)で割ったときの余りが\(0\)に等しいので, \(P(-1)=0\)である。
$$P(-1)=(-1)^3+a\cdot (-1)^2-5\cdot (-1)+3=a+7$$
なので, \(a+7=0\)である。
したがって\(a=-7\)
整式\(P(x)\)を\(x-1\)で割ると余りが\(2\), \(x-3\)で割ると余りが\(6\)である。このとき, \(P(x)\)を\((x-1)(x-3)\)で割ったときの余りを求めよ。
\(P(x)\)を\((x-1)(x-3)\)で割ったときの余りは\(1\)次以下なので, \(ax+b\)(\(a, b\)は定数)とおける。
\(P(x)\)を\((x-1)(x-3)\)で割ったときの商を\(Q(x)\)とおくと, \(P(x)=(x-1)(x-3)Q(x)+ax+b\)となる。
\(P(x)\)を\(x-1\)で割ると余りが\(2\)なので, \(P(1)=2\)である。
一方, \(P(x)=(x-1)(x-3)Q(x)+ax+b\)の両辺に\(x=1\)を代入すると
$$P(1)=(1-1)(1-3)Q(1)+a\cdot 1+b=a+b$$
である。
よって\(a+b=2\)を得る。
また, \(P(x)\)を\(x-3\)で割ると余りが\(6\)なので, \(P(3)=6\)である。
一方, \(P(x)=(x-1)(x-3)Q(x)+ax+b\)の両辺に\(x=3\)を代入すると
$$P(3)=(3-1)(3-3)Q(3)+a\cdot 3+b=3a+b$$
である。
よって\(3a+b=6\)を得る。
以上により得られる連立方程式
$$
\begin{cases}
a+b=2 \\
3a+b=6
\end{cases}
$$
を解くと, \(a=2, b=0\)を得る。
したがって, 求める余りは\(2x\)である。

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